イオナイザーは帯電物を除電するために、イオンを帯電物にぶつけることで帯電を中和します。その為、対象物に触れること無く除電が出来ます。この場合、対象物がプラス(+)に帯電しているのか、マイナス(-)に帯電しているのか分かりませんので、通常はプラス、マイナス両方のイオンを放出します。イオンは放電により発生しますので、数kV~10kVの高電圧を放電用電極(以下電極)に印加します。電極は一般的には針状のものが使われ、点放電と呼ばれていますが、弊社では「誘電体バリア放電」と呼ばれる面放電を採用しています。次に電極に電圧を印加する方法は、大きくDC方式とAC方式があります。空間イオンバランスやイオン放出の長期安定などの優位性は、AC方式が適しているため、F2ではAC方式の一種で弊社独自のリニアインターバルAC方式(以下LIAC方式)を採用しています。本方式は弊社で特許を取得しており、以下のような特徴があります。
1.発生させるイオンの量をプラス、マイナスそれぞれを独立して無段階(リニア)に調整出来ますので、イオンバランスが細かく調整出来ます。
2.プラスイオンとマイナスイオンの発生タイミングを自由に制御出来ます。
3.間欠動作(インターバル)の為、消費電力が少なく、高電圧発生用トランスも小さくなりますので、高電圧発生回路が小さく出来ます。
上記のような特徴を有するLIAC方式について、以下に説明します。
プラス電圧の放電ではプラスイオンが発生し、マイナス電圧の放電ではマイナスイオンが発生しますので、図1に示す従来のAC方式駆動電圧では、プラスイオンとマイナスイオンが交互に発生することが分かります。但し、商用周波数(50/60Hz)のような低い周波数では、トランスが非常に大きくなりますので、通常は周波数を数十kHzに上げて、トランスを小さくしています。その結果、プラスイオンとマイナスイオンの発生タイミングが近くなってしまい、電極の近くでプラスイオンとマイナスイオンが結合し、対象物まで届かないということが起きます。発生したイオンの50%以上が結合する場合もありますので、相当に無駄が多いことが分かります。
これを防ぐ為に図2に示しますように、プラス電圧とマイナス電圧を印加する間隔(インターバル)をとって駆動する方式があり、これであれば発生したイオン同士が結合することを防ぐことが出来ます。但し、インターバルによる動作をさせると、図2に示しますように、駆動パルスが無くなるタイミングでトランスの2次巻線の電圧が大きく変化(逆サージ)することが知られており、この電圧により、本来出したい極性のイオンと逆極性のイオンが発生するという問題が起きます。
LIAC方式は1次巻線の駆動回路を工夫することで、図3に示しますように、この逆サージ電圧を無くすことが出来ますので、本来意図したイオンを出すことが可能になっています。
次に発生するイオンの量は放電電圧に比例しますが、弊社LIAC方式はこの電圧を無段階に制御することが出来ますので、イオンの量も同様に制御出来ます。除電対象物の状態に合わせて、細かく除電を制御したい用途にもお使いいただけます。数kVの高電圧を発生させるにはトランスを使いますが、この場合、トランスの1次巻線に印加した電圧がトランスの巻線比倍されて、2次巻線に出力されます。例えば、1次巻線の印加電圧が24Vで巻線比が100であれば、2次巻線には24V×100=2,400Vが出力されます。ここで出力電圧を変えるには、1次巻線の印加電圧を変えるか、巻線比を変えるしかありませんが、どちらも非常に難しいので、出力電圧を連続的に変えるのは不可能とされてきました。しかし、弊社独自のLIAC方式では、1次巻線を単なるスイッチングではなく、電流駆動にしてその電流を制御することで出力電圧を制御することを可能にしました。
LIAC方式による逆サージ電圧を無くす効果について、実際のオシロスコープでの波形を以下に示します。図4がLIAC回路無し、図5がLIAC回路有りでの出力電圧波形です。
FAQ詳細 「リニアインターバル方式(LIAC方式)とは?-Part2-」へ続きます。